ベルマモ/くだらない

「……うわあ」
「…………」

なんだよ、と睨みつける視線。
赤ん坊は不機嫌そうだ。

「よくそんなに食べられるよね」

と、揶揄るように笑うベルフェゴール。
発言の先となった――マーモンはとことん不機嫌そうな顔をしている。
ベルフェゴールには言われたくない理由があるからだ。

「お子様ランチを食べるベルのほうがうわあ、だよ」
「お子様ランチはそんなに甘くないもん」
「お子様ランチって時点でうわあだよ」

マーモンの目の前に置かれたのは桜色したロールケーキ、添えられた生クリームとホイップクリームは一目でもたっぷりだとわかる。
いかにも女の子が好きそうな甘い甘いお菓子、もといデザート。
一方ベルフェゴールの目の前には空っぽになったお皿。新幹線のかたちをしている。
いわゆるお子様ランチ。対象年齢はせいぜい小学生までだ。

「ガチャポンもできちゃうんだぜ、お得じゃん」
「ガチャポンだなんてくだらないよ」

ぱくり、とスプーンをくわえてマーモンは飽きれたように言う。
ガチャポンなんてとことんくだらない。
それこそお金をどぶに捨てるようなものだ。もったいない。
ケチャップライスのてっぺんにさしてあったイタリアの国旗を指で摘んだベルフェゴールは面白そうに瞳を細めた。やっぱり意見はかみ合わない。

「デザートの方がくだらない」

夢も希望もつまってないから!とのたまう王子様。
おまえはいくつだと問い質したいが無駄だと知っているマーモンは言葉を飲み込んだ。
無駄なことはひとつさえしたくない。

「栄養になるからね、君のガチャポンよりかは有益だよ」
「たいして働きもしてないくせに!」
「ベルが無駄に人を殺しすぎなんだ。無駄にね」

不機嫌そうに吐き捨てたマーモンの口の端についた生クリーム。
ぎゃんぎゃんと会話をする子どもたちを眺めていたザンザスはマーモンの頬っぺたを見た。
スクアーロを連れてこればよかった。
心からそう思った。こういう時だけあのカスは役に立つ。
ボスが気紛れに生かしているのはそのためかもしれない。

「甲斐性なし」
「だって退屈じゃん。しかたねーもん」
「だから甲斐性なしっていってるんだ」

むぐむぐと口を動かすマーモンに手を伸ばしてボスはため息をついた。
殺すには惜しい力を持っているがとてつもなくうざいこの子どもたち。
口許のクリームをタオルでふき取ってやるとベルフェゴールが爆笑した。
ああ、やっぱりスクアーロを連れてこればよかった。
むかついた、とか理由をつけてマーモンの食べているデザートをひっくり返すことができたのに。
いまさらな後悔をしたヴァリアーのボス、ザンザスは現在二十四時間開店しているファミリーレストランにベルフェゴールとマーモン、そしてレヴィと一緒に居る。









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