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「どうも、ボス。僕はマーモン」
 赤ん坊がやってきた。



ダディ!03


 郊外にある廃屋と呼んでも可笑しくないほど荒れ果てた屋敷にザンザスたちヴァリアーの本拠地はあった。住めば都というが特に不便は無さそうだ。屋根はあるし雨風は防げる。そして食事つきだ。生き延びるための基本的なことは完備してある。生活に無駄な出費をせずに済むとマーモンはひとり口角を吊り上げた。大好きな大切なお金が少し多く手元に残るのだ。この上ない至福である。
 そんな幸せをくれた目の前の恩人、ザンザスは難しい顔をしている。その表情から感情を読み取るのは難しい。
「乳歯は生えてるか?」
 仏頂面の大人は真剣な顔をしてそんなことを尋ねてきた。さすがのマーモンも呆気に取られてしまう。
「つか、見えん。スクアーロ、こいつをデスクの上に乗せろ」
 マーモンの隣に立っていた大人の手がのびてきた。首根っ子を掴まれ宙に浮く。そしてデスクの上に投げ出された。
「赤ん坊だな」
「だから言ったろおが。うちの霧の守護者は赤ん坊だ」
 貴様にお似合いだと笑うスクアーロを一発殴ってザンザスはじろじろとマーモ ンを眺めた。
「乳歯は生え揃えてるみたいだな。固形食もいけそうだ」
 こわもてがどうのではなくボスの奇行にマーモンはたじろぐ。出会い頭に乳歯について尋ねるなんて普通はしない。
「風呂はひとりで入れるのか?」
「あ、まあ」
「なら歯磨きは」
「ひとりでできるよ」
「食事は?」
「もちろん」
 ヴァリアーに入隊する者はみなこの質疑を受けるのだろうか。疑問に思うがまだザンザスのひととなりがわからないから尋ね返すのもなんだ。マーモンは不思議がりながらもザンザスの問いに答えた。
「手のかから無い赤ん坊だな」
感心したようにザンザスはつぶやきマーモンのことを見下ろした。

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